→前の記事はこちら: 【〜地域のインフラが生み出す観光資源〜インフラツーリズムの可能性 】①
前回はインフラツーリズムによる地方活性化の可能性や、インフラツーリズムに活用できる設備について特集しました。
今回は実際のインフラツーリズムの事例を紹介します。不動の人気を誇るものから、地域密着型のコースまで様々なインフラツーリズムがあるので、参考にしてみてください。
事例① インフラツーリズムの先駆け的存在
●くろよん│黒部宇奈月キャニオンルート
▶https://www.info-toyama.com/stories/kurobeunazuki-canyonroute
人気のインフラツーリズムとしても知られているのが、くろよん(黒部ダムのある黒部川第四発電所の総称)の上を歩き、迫力あるダムを間近で見ることができる立山黒部アルペンルート。開発の歴史を横のくろよん記念室で見ることもできます。
この有名なアルペンルートと繋がるキャニオンルート(黒部ダムと黒部峡谷鉄道 欅平駅を結ぶ「黒部宇奈月キャニオンルート」)が現在開発されており、2024年に公開予定。
キャニオンルートでは黒部川第四発電所へつながる黒部トンネルを専用バスに乗って進んだり、蓄電池機関車に乗って、黒部川第三発電所建設の高熱隧道を通過したりなど、ダムの内部を見学できることから、黒部ダムの新たな魅力発見となりそうです。
事例② 地域を丸ごと満喫
●ふくしまインフラツーリズム│ふくしまのインフラ施設を満喫!2泊3日コース
▶https://www.pref.fukushima.lg.jp/img/infra/pdf/course-n-1-2haku3kka.pdf
福島県が取り組んでいるのは、2泊3日で福島県のインフラ施設とあわせて、周辺の観光スポットを巡ってもらおうというコースの提案です。
旬の食材を楽しめる飲食店や温泉施設への宿泊、ダムでのカヤックの体験など、大人も子供も楽しめるアクティビティが満載です。
被災した福島を地域全体で盛り上げようという様子が伺える施策です。
事例③ 現地企業との強力タッグで叶う観光
●おっと!むろらん│白鳥大橋主塔登頂クルーズ
▶http://muro-kanko.com/visit/hakuchoclimb.html?msclkid=e7dbe84cc9cd11eca27df2be247ce6d2
北海道室蘭市では、まちのシンボルともいえる白鳥大橋をインフラツーリズムとして扱う試みをしています。地域の船舶会社とタッグを組んでクルーズツアーを開催しているのも特徴です。
海から橋を支える主塔に上ることができるのは、日本では室蘭だけ。
地域と連携しながら、その地域でできるインフラツーリズムを生み出した事例です。
事例④ 地域が一丸となり盛り上げる
●銘石の宿 かげつ
▶https://www.isawa-kagetsu.com/infrastructure_2023/
山梨県の宿泊施設では、その地域のインフラツーリズムやグルメ情報を積極的に公開し、インフラツーリズム以外も一緒に満喫してもらえるようなPRを行っています。
インフラ施設自体の魅力に加え、その地域の強みをまるごとアピールし、地域全体で楽しんでもらえるような施策です。
インフラツーリズムには、娯楽施設のようなエンターテイメント性はありませんが、インフラ施設の見せ方やツアー内容などのアイデア次第で、魅力あふれる観光資源としてアピールできます。
■首都圏外郭放水路│日本が世界に誇る防災地下神殿
▶https://gaikaku.jp/
埼玉県春日部市の首都圏外郭放水路は、ミステリアスな雰囲気を持つ通称地下神殿と呼ばれています。普段生活している地下には、巨大なインフラ施設があり、その施設があることで、人々の生活が守られていることを知ることができます。
このように、その施設の本来の在り方や目的を伝えながら、インフラ施設のアピール方法を模索していくことで、行ってみたい!と思わせるようなインフラツアーを生み出せるのです。
しかし、自治体や企業によっては、どのように推し進めていけばよいのかわからないという場合もあるでしょう。
国土交通省では、インフラツーリズムの取組と課題をまとめた資料を作成しています。
■国土交通省│インフラツーリズムのこれまでの取組と課題
▶https://www.mlit.go.jp/common/001261595.pdf
過去の事例や取組、一般客に興味を持ってもらうための工夫などがまとめられているので、インフラツーリズムのアイデアを生み出すためのヒントとして活用するのも良さそうです。
インフラツーリズムの事例が多数ある一方、インフラツーリズムにおける課題点もいくつか存在します。
インフラ施設の見せ方、広報周知などの戦略的なものから、対応要員の確保や参加者の安全性保持などの管理者側の課題もあります。
まずはその地域で対応できることを検討し、自治体や地域全体で協力しながら、一つの観光産業として成り立たせていくことが重要といえるでしょう。
インフラツーリズムは、人々の生活を支える施設やサービスを、普段とは異なる視点で体験・見学ができます。インフラ施設があることでの便利さを知り、また、違った視点で楽しむことができるのが魅力です。
インフラ施設の見せ方、アピール方法によっては、観光資源に乏しい地域の活性化も期待できます。インフラツーリズムを成功させるためには、インフラ施設だけではなく、その地域が一丸となって、その地域でしかできない体験を作り上げる必要があります。
まずは地域のどのインフラを、どのように活用できそうか。今回の事例を参考に検討してみてください。
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