10月から水際対策も緩和され、また円安の影響もあってインバウンドの本格的な回復が期待されています。そして、日本がインバウンドによる観光業の復活を目指すにあたり、カギとなるのが富裕層をターゲットにした「ラグジュアリーツーリズム」です。
パンデミックや長引く戦争の影響で世界的にインフレが懸念されていますが、そんな経済不安の中でも富裕層をターゲットにしたビジネスは着実に伸びています。しかし、残念ながら日本の観光業においては、この富裕層をターゲットにしたインバウンド戦略が弱いと言われています。
日本政府観光局の調査によると、富裕層による旅行(※一度の旅行で100万円以上を消費する)は全海外旅行者の1%ですが、旅行での消費額が全体の13.1%も占めています。しかし、日本においては、訪問する富裕旅行者は全体の1.4%で、消費額も全体の 1.3%にとどまっています。
よって、インバウンド活性化のためには富裕層向けの観光誘致は必須です。それでは、具体的な対策として何をすれば良いのでしょうか?
まず、富裕者旅行の志向として下記のような違いがあります。
・50〜60代 クラシックラグジュアリー
⇒ 贅沢を重視した価値観
従来からの価値観として、高価な装飾の施設や食事など高級感を重視する
・20〜30代 モダンラグジュアリー
⇒ 体験や環境重視の価値観
Z世代とミレニアム世代を中心とした若年富裕層は、ライフスタイルや文化、SDGsなど
環境を重視し、本物の体験を求める
これら富裕層をターゲットにした観光業を強化するための戦略課題として、日本政府観光局(JNTO)は下記を挙げています。
1)コンテンツの開発
・Googleでは検索できない、そこでしか体験できない
旅のニーズは多様化しています。特に富裕層は買い物や観光以外に「その土地でしか味わえない」付加価値に旅の独自性を求めます。
2)柔軟な受け入れ体制
・貸し切りや時間外のサービスなどの特別対応
・食事制限(ハラル、ビーガン、グルテンフリーなど)
・フリーWiFi、キャッシュレスなどのインフラ整備
富裕層はプライバシーを重視するため柔軟な対応が必要です。また、その国の宗教や習慣を熟知しなければなりません。そして、世界的にフリーWiFiやキャッシュレスなどインフラ整備の遅れも課題のひとつです。
3)案内(ガイド)・コンシェルジェの育成
・多言語での対応
・専門性の高い知識をもったガイド
・迅速に対応できる現地でのコンシェルジェ
語学に関しては未だ課題が多いようです。また、富裕層に特化した旅行業者の増加も必要です。
4)宿泊施設の充実
・富裕層向けの高級施設(5つ星以上のランク)
・コネクティングルームなど設備の充実
富裕層向けの高ランクの宿泊施設の供給が少ないのが現状です
5)地方の観光地の認知度が低い
・東京、大阪、京都のゴールデンルート以外の地方のマーケティングが必要
地方の魅力を世界的にアピールするマーケティングが弱いようです。
こういった課題を克服する上で注目すべきは、モダンラグジュアリーの若年富裕層(20〜30代)が近年著しく拡大している点です。ソーシャルメディアやIT関連のベンチャー起業、そして暗号資産などにより急激に富を増やし、現在あらゆるビジネスにおいてターゲット層として注目されています。
そこで次回は、この若年富裕層をターゲットにした戦略課題の中で2つの成功ポイント
①コンテンツの開発
②地方の観光地のマーケティング
について、事例を挙げながら詳しく紹介します。
【インバウンド復活のカギは富裕層!ラグジュアリーツーリズム2つの成功ポイント】②は11月25日公開予定です。
お楽しみに!
→次の記事はこちら:【インバウンド復活のカギは富裕層!ラグジュアリーツーリズム2つの成功ポイント】②
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