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【地域活性化を見据えたAI導入~これからの観光業が目指すもの】

生成AIの進歩は著しく、現在さまざまな産業においてAI導入が加速化しています。
観光業界においても、予約サイトのチャットbotや外国人客への自動通訳をはじめ、数多くの場面でAIが活躍しています。

そして今後さらに注目されると考えられているのが、AIを活用した新しい観光体験の創造が、観光業と地域発展にもたらす可能性です。

今回は、こうしたAIの目覚ましい進化を、今後の観光業と地域発展のためにどう取り入れるべきか、そして、そのための課題は何かについて考えていきます。


観光業と地域が取り組むべきAIの導入

観光業と地域が取り組むべきAIの導入には、いくつかの可能性があります。
これまで存在していた課題の解決や、将来に向けての取り組みなど、AIをうまく取り入れることで変革していくことでしょう。

■パーソナライズされた体験提供

AIを活用することで、観光客の好みや興味に合わせパーソナライズされた体験を提供できます。顧客の過去の行動や嗜好を分析し、個々の観光客に最適な情報やサービスを提供することで、満足度を高めてリピーターの増加につなげることができます。

さらに、昨今は旅のスタイルが変化しており、多くの旅行者がネットで検索して、自分の好みや都合に合わせた旅行を計画し楽しむようになりました。
またChatGPTの登場により、利用者が希望を入力するだけで、目的地、移動手段、宿泊所、そして観光地のオプションまで、完全なオーダーメイドのプランを提案してくれます。

この変化は地方の観光業にとってチャンスと言えます。
なぜなら、観光資源や魅力を上手く発信することで、観光地化されていない地方の魅力の発見につながるからです。そして、その地域の観光や宿泊施設のサイトを訪れたユーザーに、AIを利用して旅行者の好みに合わせた観光プランなどを提案すれば集客につながります。


■予測分析に基づく需要予測 

AIを使用することで、あらかじめ観光地の需要を予測することができます。これにより、ピーク時やオフシーズンなどの需要変動に柔軟に対応し、効率的なリソース配分やマーケティング戦略の立案が可能となります。

特に地方においては、シーズンによる旅行客の変動や需要予測をすることで、宿泊料金や観光地でのサービス料を変動させ、オフシーズンでも収益の確保につなげられるのです。
スタッフの雇用においても、これらの予測をもとに柔軟に対応すれば、人件費の節約になるでしょう。

また、リアルタイムで混雑情報や天候を表示するAIを導入すれば、それによって旅行客の分散が見込まれオーバーツーリズム解消にもつながります。


■自動化と効率化

予約管理、チェックイン、案内、支払いなどのプロセスを、AI導入により自動化すれば、従業員の負担を軽減して業務の効率化を図ることができます。そして負担が減った分を、従業員による旅行者への手厚いサービスに回すことができるでしょう。

世界的にキャッシュレスやデジタル化が進む中、システムの自動化は、地方のインバウンド集客においても今後ますます重要となるでしょう。


■自然災害や危機管理

AIを利用して、自然災害や危機管理に関するデータを分析し、リアルタイムで観光客に安全情報を提供することができます。また、リスクを最小限に抑えるための予防策を立案するのにも役立ちます。

日本は観光立国であると同時に自然災害も多く、観光客に対してAIを駆使したデータによる安全性をアピールすることは、観光地の危機管理にとっても重要です。


■観光資源の保護と持続可能性

AIによって観光地の資源利用や環境への影響を監視できれば、持続可能な観光開発を促進することができます。例えば、人工知能を用いた野生動物の監視や生態系の保護、観光地の持続可能な交通システムの構築などです。

旅行者による環境問題への関心は、年々高くなっています。よって持続可能な旅を提案するうえでAI導入は非常に有効です。特に自然保護は観光地にとっても重要な課題なため、地方におけるサステナブルな旅を推進するのに役立ちます。




観光型MaaS(Mobility as a Service)の可能性

地方での観光で課題となるのが移動手段です。
観光型Maas(Mobility as a Service)とは、観光地における旅行者の交通手段を統合して、目的地までの移動をスムーズにするサービスです。

旅行者は、一つのプラットフォームやアプリケーションから、交通手段の予約や支払いを一元化できれば、移動が楽になります。

観光型MaaSを利用すれば、初めて訪れる観光地でも、AIによる最適な交通手段とルート、混雑予測などを提示してくれるので、旅行者が時間をかけて調べる手間が省けます。そのため有名観光地以外の地方を旅行したい人にとっては、非常に行動しやすくなるのです。


観光業と地方におけるAI導入の課題

観光業界においても、今後はテクノロジー導入は避けられません。
各自の取り組みだけではなく、やはり自治体の協力と協働が必要となるでしょう。

例えば、

 ■テクノロジー導入への抵抗感
 ■費用の捻出
 ■インフラ整備

などの問題点が挙げられる場合、自治体との協働で進歩が見込めるケースもあるのです。


それでは、AIを導入した地方の取り組み事例を紹介します。

事例①
●AI自動算出によるホテル客室のダイナミックプライシングで、業務効率とマーケティング強化

需要によって客室料金を変動させるダイナミックプライシングは、これまで熟練スタッフが経験と勘による手作業で行っていたことで、予測の困難さやスタッフへの負担が課題となっていました。
しかし、AIによる自動算出で効率化を図り、さらにマーケティングへの活用もできるため、収益増につながることが期待されます。

人手不足解消や収益の確保につながるAI導入は、地方の観光業ほど効果が見込まれるでしょう。


*参考:NEC、ホテルの客室料金の最適金額を「AI」で自動算出するサービス、2月から本格運用へ、収益最大化に貢献
 ▶https://www.travelvoice.jp/20240105-154846


事例②
●AI顔認証で運賃決済 キャッシュレス化の加速で観光業にもプラスに

公共交通機関でのキャッシュレス化が進めば、旅の移動が手ぶらとなり、より手軽で簡単となります。
またオーバーツーリズムによる混雑の軽減も見込まれ、地域住民の不便や不満の解消にもつながります。


*参考:熊本市内の路面電車に手ぶら顔パス乗車、AI顔認証で運賃決済、実証実験後に早期の本番運用へ
 ▶https://www.travelvoice.jp/20240109-154876




AIをはじめとしたテクノロジーの導入は、今後あらゆる産業において浸透していくでしょう。
特に観光業においては、進化するテクノロジーの導入によって、有名観光地での観光客の集中を回避できることが期待されています。

そういったことから、観光による地域活性化を目指すためにも、地方こそAIツールの導入に取り組むべきです。
そしてAIを上手く活用すれば、業務の効率化やマーケティング強化につながり、地方における海外からの人流にも効果的です。インバウンドによるオーバーツーリズム対策にもつながるでしょう。

しかし、AIを導入するには様々な課題もあります。

それぞれの施設で行動するだけではなく、インフラ整備も含め、自治体や地域全体との協力と協働が必須です。
何が課題であるか、それを解消するにはどのようなものが必要かを考え、AIツールの導入やデジタル化に前向きに取り組んでみてください。

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